月別: 2019年4月

“本物”の女性ラッパー、リトル・シムズ 「ラップが立ち向かう手段だった」

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今、カーディ・B(Cardi B)やプリンセス・ノキア(Princess Nokia)、リゾ(Lizzo)など、フィメールラッパーの活躍が目覚ましい。中でもリトル・シムズ(Little Simz)はジャンルを横断したサウンドと真摯なリリックから、あのケンドリック・ラマー(Kendrick Lamar)に「めちゃくちゃドープな若いラッパーがいるんだ。彼女は今一番ヤバい、本物だよ」と言わしめるほどの実力を持つ“本物”のラッパーだ。

リトル・シムズは、ナイジェリアにルーツを持つ1994年生まれのイギリス人。16歳の頃から楽曲を制作し始め、20歳の時に発表した無料EP「AGE 101」で脚光を浴びると、翌年にはデビューアルバム「A Curious Tale Of Trials + Persons」をリリース。すると同アルバム収録曲の「Wings」がiPhone 6sのCM(一部地域限定)に起用されたことをきっかけに、米経済誌「フォーブス(Forbes)」が毎年発表している「30歳以下の欧州で活躍するアーティスト」と「2016年注目のヒップホップ・アーティスト」に選出され、ローリン・ヒル(Lauryn Hill)のツアーで前座を務めるなど、グローバルで注目を集める存在となった。

16歳の頃から楽曲を制作していたそうですが、そもそもラップを始めたのはいつから?

9歳くらいかな。子どもの頃から歌ったり踊ったり描いたりって、何かしらで内に秘めるクリエイティブな要素を表現することが好きだったの。ありがたいことに両親はそういったことにすごく理解があって支えてくれたわ。

表現方法の1つだったラップで、アーティストになろうと決めた理由を教えてください。

リトル・シムズ:私はロンドン生まれ、ロンドン育ちなのに、黒人というだけでいろいろな思いをしてきた。これは私だけじゃなくて、同じようなバックグラウンドを持つ女の子たちみんながそれを経験して、子どもから大人になる。その転機に差し掛かる頃に、この思いをみんなと共有してインスパイアしたいと思ったの。ただ私は、思ったことを声を大にして伝えるようなタイプでもないし、歌も上手じゃなかった。むしろ、思ったことは日記とか絵に描いて記録するのが好きだったくらい内気だったの(笑)。でも立ち向かわなくちゃいけないと思って、その手段としてラップを選んだ。音楽のジャンルでもヒップホップを聴くことが多かったし、フロウとかライムっていうラップの要素が私にしっくりきたのも大きいわ。

ローリン・ヒル(Lauryn Hill)とか、ノトーリアス・B.I.G.(The Notorious B.I.G.)、ジェイ・Z(JAY-Z)ね。

楽曲制作の際、なんらかのテーマやルールなどの決め事はありますか?

決まったやり方は特になくて、ルールを設けないことがルールかな。ただ何かを吐き出したい衝動に駆られるのが大前提で、とにかくそのときの自分の気持ちに素直になることは大事にしているわ。あとは、かっこよく言うと音に語らせるようにって感じ(笑)。だから何カ月も仕上がらないことも、一晩でできあがることもあるし、曲によって雰囲気が全然違うものになるの。

バンドサウンドをよく取り入れていますが、ラッパーには珍しくギターやベースなどの弦楽器を弾きますよね?

でも1人のミュージシャンとして、ベストを目指したいからなの。いまの世の中にはラッパーが溢れていて、その中でいかに自分がエッジが利いて秀でた存在でいられるかって大切じゃない?みんな「ラッパーなんだからギターやベースなんて弾けないでしょ」って思うから、その常識を打ち破りたいの。もちろん自己証明的な意味合いだけじゃないわ。楽しいし、ステージでギターを弾けばロックスターの気分が味わえるしね!

「カルティエ」が新作ジュエリーをお披露目 2面性に溢れたパリのイベントに潜入

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「カルティエ(CARTIER)」は4月11日、新コレクション「クラッシュ ドゥ カルティエ」を発売しました。

これは、「カルティエ」は「ピコ」と呼ぶスタッズ、そして同じく「クル カレ」と称する四角錐を組み合わせた、リングを中心とするコレクション。共に古くから用いるモチーフ同士を組み合わせているので伝統的かつクラシカルな側面もありますが、全体の印象は現代的でアヴァンギャルド。そんな2面性のあるコレクションです。まずはピンクゴールドを発売しましたが、色はイエローゴールドとビンクゴールドが絶妙に入り混じったようなニュアンスカラー。これも2面性の表現でしょうか?

9月に発売予定の“クラッシュ ドゥ カルティエ”のホワイトゴールドタイプ。こちらは、よりエレガントな印象です

そして秋にはホワイトゴールドを発売します。ホワイトゴールドは、随分印象が変わりませんか?パリのイベントで一足先に見せていただきましたが、僕はホワイトゴールドの「クラッシュ ドゥ カルティエ」にアバンギャルドよりむしろ、エレガントな印象を強く抱きました。「クラッシュ ドゥ カルティエ」は人それぞれ、色それぞれ、全然違う印象を抱いちゃう、抱いてよいコレクションです。

そんなコレクションのパリでのお披露目イベントは「クラッシュ ドゥ カルティエ」の「2面性」をテーマに、テクノロジーとトラディショナル、クラシックとアヴァンギャルド、男性性と女性性など相反する要素がまさに「クラッシュ」しあうものでした。カルティエのシリル・ ヴィニュロン(Cyrille Vigneron)最高経営責任者は、「相反する価値観がクラッシュするのは今、最高にクールなことだ」と話しましたが、確かに面白かったし、カッコよかった!今日は、そんなお話をしたいと思います。

「カルティエ」は、「クラッシュ ドゥ カルティエ」のお披露目のために、「パリと言えば!」のヴァンドーム広場に隣接する空間にイベント会場を設けました。

セックスピストルズ?ベートーベン?アナタなら、どちらの扉を開けますか?

そこを訪れると、最初に待っていたのは2つの扉。1つには「SEX PISTOLS(セックスピストルズ)」、もうひとつには「BEETHOVEN(ベートーベン)」の文字が刻まれています。どちかを選んで、その扉を開けなさいと言うのです。

えー、難しい(笑)。同じ音楽だけど、全然違うから比べ難い。それでも「BEETHOVEN」を選んでドアを開けると、そこにはまた2つのドア。こうやって相反する価値観のどちらかを選び、そのドアを開ける行動を何回か繰り返します。

最初にたどり着いたゴールは、近未来的な音楽の部屋。全てがデジタルやテクノロジーとリンクしています

すると、ゴール!待っていたのは、2つの大きな空間です。僕がたどり着いたゴールは、レコードとプレーヤーが並ぶ空間。壁にはメタリックシルバーのレコードが並び、プレーヤーで実際、音楽を聴くことができそうです。写真を撮っているとスタッフが「もっと質問に答えてみない?」と近づいてきます。せっかくなので、挑戦!タブレットでサクサク質問に答えていくと、最終的に「あなたは注意深い冒険家タイプ」なんて性格診断をしてくれて、僕にふさわしいレコードをくれました。

選曲を担当したのは、ファッションショーのBGM界の超大御所ミシェル・ゴベール(Michel Gaubert)でした。音楽はSpotifyでも聞くことが出来て、このあたりは「デジタル・コミュニケーションが上手だね!」という感じです。

一方、もう1つの部屋は、対照的にクラシカル。レコードの代わりに並んでいるのは、大量の書籍です。こちらではタブレットではなく、タイプライターの前に座っている人とお話。俳句のような短い詩を書いてくれるといいます。

早速、こちらもトライすると、さっきのタブレットでサクサクな性格診断とは対照的!「最近、達成感を覚えたことは?」とか「アナタの長所は?」みたいな質問を投げかけられます。

その様子を写真で撮ってもらいましたが、なんだか人生相談みたいですね(笑)。数分、しっかり話を聞いてもらうと「わかった!考えてみる」と詩の創作がスタートします。

一言一言、慎重に言葉を選びますから、なかなか進みません(笑)。しかも、その言葉を打ち込むのは、時代錯誤とも思えるタイプライター。

会話の後、作っていただいた詩。「文章をデジタルピクセルに変換するハードルを乗り越え、世界に新たな光を」という意味。2年前、デジタル編集の世界に飛び込んだ僕にピッタリです

でも完成した詩は、ステキな思い出になったし、いただいたカードには名前のタイプミスがあってヘンテコなスペースが空いてしまいましたが、それもまた愛らしい。便利で秒速なタブレットでの性格診断とは全然別ですが、これもこれでステキだったんです。

なるほど。「クラッシュ ドゥ カルティエ」の2面性って、こういうコトなのですね。デジタルでも聞ける音楽と、タイプライターで打ち込んだポエム。2つは全然違うけれど、どちらもステキ。もちろん両方スキにならサイコーだろうけど、究極どちらをスキになってもいい。そんなイベントを通して、「クラッシュ ドゥ カルティエ」はアヴァンギャルドと思って愛しても良いし、クラシカルと捉えて愛用してくれても良い。そんな楽しみ方を学びました。このジュエリーは、一人一人の個性とか志向、価値観の違いを尊重するインクルージョン(包摂・包括性)&ダイバーシティー(多様性)なマインドを秘めたコレクションなのです。

ちなみにこのイベント、日本でも似たような演出で5月中旬スタート予定です。

アルノー・カレズ「カルティエ」インターナショナル・マーケティング&コミュニケーション・ディレクター

メゾンのコミュニケーションを司るアルノー・カレズ(Arnaud Carrez)「カルティエ」インターナショナル・マーケティング&コミュニケーション・ディレクターは、「『カルティエ』は昔から2面性を持っている。例えば“カルティエ ラブ コレクション”。エターナルな『愛』を象徴するコレクションながら『束縛』というセンセーショナルな言葉を用いたコミュニケーションは、発売当時大きな話題を呼んだ。ジュエリー業界のリーダーとして、限界を突破する。そんな精神に溢れている。『2面性』は、“クラッシュ ドゥ カルティエ”に限った話ではないんだよ」と教えてくれました。なるほどです。

ちなみに今回のプレストリップ、ディナーも2面性に溢れていました。かつては監獄だったこともある会場に総勢350人、うちセレブだけでも100人越えの盛大なディナー。ホタテとトリュフでホワイト&ブラックな前菜。甘いピーチを模しているのに食べたら酸っぱいデザートなどなど。アフターパーティーのパフォーマーは、トランスジェンダーの歌手だったり、オッさんなのにイケイケDJだったり(笑)!いろんな人がいるし、いろんな価値観があっていい。そんなことを改めて思わせてくれたコレクションであり、イベントでした。

トップ ニュース AOKIが働く女性にオフィススタイルを提案 渋谷宮益坂店をリニューアル 前の記事 ニュース 次の記事 AOKIが働く女性にオフィススタイルを提案 渋谷宮益坂店をリニューアル

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AOKIは、都心の旗艦店である「アオキ」渋谷宮益坂店のウィメンズエリアを大幅改装して、5月19日にオープンした。宮益坂店はウィメンズ売り上げの構成比が全店舗の中でも上位で、AOKIウィメンズのブランド価値を訴求するのに最適な店舗と位置付ける。内装や什器から、ウィンドー、ショッパーにいたるまでウィメンズに関する内容を全面刷新した。売り場面積は改装前の約1.4倍の90平方メートルに拡大した。

店内は通勤やオフィス、出張など、働く女性が日々過ごす仕事のシーンに沿ってエリアを構成し、着用シーンをイメージすることができる商品を展示している。内装には1960年代の海外ドラマのスタジオセットをイメージしたかわいらしい小物が散りばめられており、女性が楽しんで買い物ができる空間となっている。また、店外通路のウィンドーをウィメンズ単独の商品展示にするなど、店内外ともに商品ディスプレーを工夫した。

接客面においては、商品知識やコーディネート提案などの接客技術の社内資格を持つ「レディーススタイリスト」がスタイリングをサポートする。

今回の改装は、2017年から商品戦略パートナーを務める齊山陽子クリエイティブ・ディレクターが監修。オフィスシーンを切り取ったウィンドーやフォトスポットを用意することで、20〜40代の働く女性の客層拡大を図り、中長期的にAOKIブランド全体におけるウィメンズ売り上げ構成比を現在の17%から20%に引き上げることを目指す。

人気ボーイズグループiKONに直撃取材 日本で買い物する店やブランドは

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BIGBANGや2NE1など大人気グループを多く世に送り出してきた韓国の大手芸能プロダクション、YG ENTERTAINMENTに所属するiKONは、同事務所が企画したサバイバル番組「WIN: WHO IS NEXT」(2013年放送)、「MIX & MATCH」(14年放送)から結成されて15年にデビューした7人組ボーイズグループだ。力強いダンスと圧巻のパフォーマンス力に加え、ヒップホップ調の曲からバラードまで幅広くヒット曲を出し、現在国内だけでなく海外で人気を集めている。

中でも18年1月にリリースした「LOVE SCENARIO」は韓国の主要音楽チャート8つで1位を獲得し、合計で42日間連続で1位に輝いた。17カ国のiTunesチャートでも1位を獲得。8月24日から日本での全国ツアー、9月26日に2年半ぶりとなる待望の日本アルバム「RETURN」の発売を控えている彼らに、アルバムやファッションのこだわりを聞いた。

約2年ぶりのリリースとなった2ndフルアルバム「RETURN」のコンセプトは?

恋愛小説をイメージして作った。中でもタイトル曲の「LOVE SCENARIO」に注目して聴いてほしい。

日本ツアーの見どころは?

新曲はもちろん、今回のライブでは皆ギャグをパワーアップさせたので(笑)、面白いトークに期待してほしい。7人とも日本語が話せる分、日本語で盛り上げられるように頑張りたい!

日本での思い出は?

僕は長野で温泉に入ったこと。

みんなで富士急ハイランドに行ったこと。ジェットコースターにも乗って、いい思い出になった。JU-NEくんだけジェットコースターは乗れなかったけど。

みんな好きだけど、僕だけ苦手で乗れない。

日本のコンサートでの思い出は?

前回のツアーの最後に、今まで感じたことない感情が思わず沸き起こったのを今でも覚えている。言葉で説明するのは難しいけれど、とにかくファンの皆さんに対する感謝の気持ちでいっぱい。

YGジャパンの社長に日本語がすごく上手になったと褒められたこともうれしかった。

日本語はどのように勉強している?

僕は映画を見たり、マネジャーさんと電話したりして勉強している。

ファッションのこだわりは?

ズバリ、ファッションには正解はない!自分が好きなものを着ればいいと思う。

その日の気分に合わせてファッションを替えていて。iKONの中のファッションリーダーといえばDKくん。一番ファッションに興味を持っているメンバーだから。

DK:そんなこと言われると少し恥ずかしいけど(笑)。僕はスニーカーが特に好きで、たくさん持っている。

気に入っているブランドは?

プラダ(PRADA)」!(スマホを指しながら)前はスマホケースも「プラダ」だった。今は「グッチ(GUCCI)」だけど……(笑)。

「ナイキ(NIKE)」が好き。

JU-NEくんは「アディダス(ADIDAS)」なのでは?JU-NEくんのシグネチャーは「アディダス」のトレーニングジャージー。

もはや僕の体の一部で、毎日着ている。それしか持っていないというのもあるけど(笑)。「アディダス」はずっと愛用している。

洋服の買い物はどこで?

DK:弘大(ホンデ)や狎鴎亭(アックジョン)が多い。

日本ではどこで買い物する?

渋谷とか原宿。あと最近はみんな古着にはまっていて、日本では「シカゴ(CHICAGO)」に行くことが多い。

僕は「シュプリーム(SUPREME)」や「グレイト(GR8)」が好き。

「カールの功績って?」「モードってなに?」 インスタで集めた質問・疑問に編集部が回答!

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新年度がスタートする4月は、職場に初々しい新入社員が入ってくるシーズンだ。これまで業界に携わったことがなく、右も左も分からない状態の新入社員も多いはず。また、そんな新入社員からどんな質問を受けるかドキドキしている先輩社員もいるだろう。そこで初の試みとしてインスタグラムのストーリーズ機能を使用し、今さら聞けない素朴な質問から長らく抱いていた疑問までを募集。4月8日発売号の紙面で、編集長をはじめとした編集部員を総動員して回答した。しかし、紙面では伝えきれないものも数知れず。ここではそのうちのいくつかを紹介する。

パリコレって結局私たちの服にどう反映されてるんですか?

1980年代から2010年代前半までは、「半年に1回発表されるパリコレの服を、アパレルメーカーやファストファッションが参照(時にはコピー)して量産してもうける」ことがファッションビジネスのひとつの柱でした。しかし最近はその状況が変わり、トレンドの変化の波は小さく、また、ランウエイだけではなくSNSやストリートといった地点からトレンドが生まれるケースが増えています。

しかし、パリコレを始めとするデザイナーブランドの影響力は健在です。例えば最近、影響力が強いブランドは「グッチ(GUCCI)」や「バレンシアガ(BALENCIAGA)」ですが、あなたの周りにかかとを切り落としたようなローファーを履いている人がいたらそれは「グッチ」から、厚底スニーカーを履いている人がいたらそれは「バレンシアガ」からの影響が大です。ちなみに、ニット(編物)と布帛(織物)を切り替えたようなトップスは「サカイ(SACAI)」が15年以上前から作り続けたことで浸透したデザインです。

影響力が健在な理由はシンプルです。パリコレで名が知られるデザイナーたちは、新しい服作りに対して本気だからです。“本気”だなんて青臭いようですが、これがとても重要です。他者が真似したくなる、新しいデザインを生み出すことは容易ではありません。新しいカタチが出尽くしたと言える現代は、素材の選択やパターンの研究も重要です。例えば同じ白いTシャツでも、去年より少し丈が短いTシャツが魅力的に見える、そんな私たちの心理の背景にも“本気の”デザイナーがデザインしたTシャツが関係していたりします。

また最近は、ファッションブランドと社会的メッセージが以前より密接になっています。パリやミラノで発表している大手企業だけではなく、新進デザイナーの多くがサステイナブルや多様性といった新しい価値観に向き合い、服を通じて伝えることでムーブメントが生まれています。そういった意味でも間接的に私たちが選び着る服と関係していると言えます。(編集長C.M.)

やっぱりストリートからテーラードがトレンドになっていきますか?

ナイロン製のシャカシャカブルゾンやグラフィックプリントのロンT、ガチャベルト、スニーカーが一気に廃れるとは思いません。けれど「オフ-ホワイト c/o ヴァージル アブロー(OFF-WHITE c/o VIRGIL ABLOH)」や「ヴェトモン(VETEMENTS)」風の安直なストリートは、次の1〜2年で淘汰されるでしょう。代わりに台頭するのは、フォーマル。ストリートブームの中、「俺は、何を着たらいいんだ?」と思っていたオジさん、「フーディー以外も着たくね?」と考えている若い世代に贈る、装いの原点に立ち返ったスタイルです。ただ全体的にオーバーサイズだったり、スーツ生地を使ったブルゾンだったり、ボディーバッグやスニーカーを合わせたりと、ストリート経験者の“視点”が生きたフォーマルになるでしょう。

“モード”はフランス語で、日本語訳は“流行”。英語訳は“ファッション”。従って“モード系ファッション”は本来、“頭痛が痛い”に近い誤用法です。日本では“モード系ファッション”という言葉は、すなわち全身真っ黒や、個性的なフォームの洋服を着た人・スタイルを指して使用することがありますが、これは本家のフランスでは通用しない“モード”の誤った使い方です。このような誤用が生まれる背景には、個性的であることを良しとしない日本社会の根強い価値観が影響していると思われます。「WWDジャパン」読者のフレッシャーズの皆さんには、“モード”とは“時代の半歩先をキャッチし、新しい価値観を通じて誰かを今より少しハッピーにするファッション”くらいのニュアンスで使用してほしいと思います。

一言で言えば、“今”を象徴する最先端のスタイル、もしくは“未来”に通じる半歩先のスタイルだと思います。真っ黒でスキニー&シャープなスタイルだけがモードではありません。それが新しくて、“今”という時代と密接にリンクしていたり、ファッション業界の“未来”を切り開く力を持っていたりすれば、トラッドだって“モード”です。トレンドとは、どこかで生まれ、周りに少しずつ広がり、気づいたら爆発的に増殖し、飽きられ、終焉を迎えます。“モード”は“少しずつ広がる”くらいまでのステージにあって、時代にフィットしているから今後爆発的に広がりそう、だから社会や経済に大きな影響を与える可能性を秘めている胎動です。

カール・ラガーフェルドの功績って?

最大の功績は、ココ・シャネル(Coco Chanel)が生み出したアイコンを現代的に蘇らせ、“死んだブランド”とまで言われた「シャネル(CHANEL)」を一大ラグジュアリーブランドへと復活させたことです。カール・ラガーフェルド(Karl Lagerfeld)が「シャネル」のデザイナーに就任したのは、37年前の1982年。現在におけるアーティスティック・ディレクターの先駆けでもあり、80年代の「シャネル」のコレクションは今見ても古さを感じさせないことに驚きます。「フェンディ(FENDI)」では半世紀以上(1965年〜)、「クロエ(CHLOE)」でも25年以上デザイナーを務め(1964〜78, 92〜97年)、自身の「カール・ラガーフェルド」も手掛けていたので(1984年〜)、最も多彩で多作なデザイナーでもありました。

日本流行色協会のように世界各国に流行色協会やリサーチ会社が存在し、それぞれがトレンドカラーを予測しています。この予測は、ライフスタイルの変化や社会情勢などと密接に関わっていて、コレクションは1年先のシーズンのショーを発表していますが、カラーはそれよりももっと先の予測をしています。とはいえ、必ずしもデザイナーやアパレル企画担当者がこれらの団体や組織が提案する色を採用するとは限らず、自分のインスピレーションや感覚からその時に使いたい色を採用することも多いのではないでしょうか。社会のムードを敏感にキャッチするデザイナーたちの間で、結果的に使用するカラーが同じ傾向だったということも多々あると思います。

製造小売業の略で、自社のオリジナルブランドを自身の店舗で売る業態のことです。初めてこの単語を使って自らを定義したのは80年代の「ギャップ(GAP)」です。今となっては無数のSPAがありますが(「ユニクロ」も「アースミュージック&エコロジー」も「マウジー」もみんなそう)、当時は非常に先進的なビジネスモデルでした。それまでのアパレル産業は、作り手(ブランド側)と売り手(小売店)が別で、ブランド側が商品を消費者に届けるためには、百貨店や専門店に売ってもらう必要がありました。しかし、SPAは作り手と売り手が一体のため、その分中間コストがかからないうえ、店頭での売れ行き状況などをダイレクトに企画に反映できるようになったのです。