「カルティエ」が新作ジュエリーをお披露目 2面性に溢れたパリのイベントに潜入

「カルティエ(CARTIER)」は4月11日、新コレクション「クラッシュ ドゥ カルティエ」を発売しました。

これは、「カルティエ」は「ピコ」と呼ぶスタッズ、そして同じく「クル カレ」と称する四角錐を組み合わせた、リングを中心とするコレクション。共に古くから用いるモチーフ同士を組み合わせているので伝統的かつクラシカルな側面もありますが、全体の印象は現代的でアヴァンギャルド。そんな2面性のあるコレクションです。まずはピンクゴールドを発売しましたが、色はイエローゴールドとビンクゴールドが絶妙に入り混じったようなニュアンスカラー。これも2面性の表現でしょうか?

9月に発売予定の“クラッシュ ドゥ カルティエ”のホワイトゴールドタイプ。こちらは、よりエレガントな印象です

そして秋にはホワイトゴールドを発売します。ホワイトゴールドは、随分印象が変わりませんか?パリのイベントで一足先に見せていただきましたが、僕はホワイトゴールドの「クラッシュ ドゥ カルティエ」にアバンギャルドよりむしろ、エレガントな印象を強く抱きました。「クラッシュ ドゥ カルティエ」は人それぞれ、色それぞれ、全然違う印象を抱いちゃう、抱いてよいコレクションです。

そんなコレクションのパリでのお披露目イベントは「クラッシュ ドゥ カルティエ」の「2面性」をテーマに、テクノロジーとトラディショナル、クラシックとアヴァンギャルド、男性性と女性性など相反する要素がまさに「クラッシュ」しあうものでした。カルティエのシリル・ ヴィニュロン(Cyrille Vigneron)最高経営責任者は、「相反する価値観がクラッシュするのは今、最高にクールなことだ」と話しましたが、確かに面白かったし、カッコよかった!今日は、そんなお話をしたいと思います。

「カルティエ」は、「クラッシュ ドゥ カルティエ」のお披露目のために、「パリと言えば!」のヴァンドーム広場に隣接する空間にイベント会場を設けました。

セックスピストルズ?ベートーベン?アナタなら、どちらの扉を開けますか?

そこを訪れると、最初に待っていたのは2つの扉。1つには「SEX PISTOLS(セックスピストルズ)」、もうひとつには「BEETHOVEN(ベートーベン)」の文字が刻まれています。どちかを選んで、その扉を開けなさいと言うのです。

えー、難しい(笑)。同じ音楽だけど、全然違うから比べ難い。それでも「BEETHOVEN」を選んでドアを開けると、そこにはまた2つのドア。こうやって相反する価値観のどちらかを選び、そのドアを開ける行動を何回か繰り返します。

最初にたどり着いたゴールは、近未来的な音楽の部屋。全てがデジタルやテクノロジーとリンクしています

すると、ゴール!待っていたのは、2つの大きな空間です。僕がたどり着いたゴールは、レコードとプレーヤーが並ぶ空間。壁にはメタリックシルバーのレコードが並び、プレーヤーで実際、音楽を聴くことができそうです。写真を撮っているとスタッフが「もっと質問に答えてみない?」と近づいてきます。せっかくなので、挑戦!タブレットでサクサク質問に答えていくと、最終的に「あなたは注意深い冒険家タイプ」なんて性格診断をしてくれて、僕にふさわしいレコードをくれました。

選曲を担当したのは、ファッションショーのBGM界の超大御所ミシェル・ゴベール(Michel Gaubert)でした。音楽はSpotifyでも聞くことが出来て、このあたりは「デジタル・コミュニケーションが上手だね!」という感じです。

一方、もう1つの部屋は、対照的にクラシカル。レコードの代わりに並んでいるのは、大量の書籍です。こちらではタブレットではなく、タイプライターの前に座っている人とお話。俳句のような短い詩を書いてくれるといいます。

早速、こちらもトライすると、さっきのタブレットでサクサクな性格診断とは対照的!「最近、達成感を覚えたことは?」とか「アナタの長所は?」みたいな質問を投げかけられます。

その様子を写真で撮ってもらいましたが、なんだか人生相談みたいですね(笑)。数分、しっかり話を聞いてもらうと「わかった!考えてみる」と詩の創作がスタートします。

一言一言、慎重に言葉を選びますから、なかなか進みません(笑)。しかも、その言葉を打ち込むのは、時代錯誤とも思えるタイプライター。

会話の後、作っていただいた詩。「文章をデジタルピクセルに変換するハードルを乗り越え、世界に新たな光を」という意味。2年前、デジタル編集の世界に飛び込んだ僕にピッタリです

でも完成した詩は、ステキな思い出になったし、いただいたカードには名前のタイプミスがあってヘンテコなスペースが空いてしまいましたが、それもまた愛らしい。便利で秒速なタブレットでの性格診断とは全然別ですが、これもこれでステキだったんです。

なるほど。「クラッシュ ドゥ カルティエ」の2面性って、こういうコトなのですね。デジタルでも聞ける音楽と、タイプライターで打ち込んだポエム。2つは全然違うけれど、どちらもステキ。もちろん両方スキにならサイコーだろうけど、究極どちらをスキになってもいい。そんなイベントを通して、「クラッシュ ドゥ カルティエ」はアヴァンギャルドと思って愛しても良いし、クラシカルと捉えて愛用してくれても良い。そんな楽しみ方を学びました。このジュエリーは、一人一人の個性とか志向、価値観の違いを尊重するインクルージョン(包摂・包括性)&ダイバーシティー(多様性)なマインドを秘めたコレクションなのです。

ちなみにこのイベント、日本でも似たような演出で5月中旬スタート予定です。

アルノー・カレズ「カルティエ」インターナショナル・マーケティング&コミュニケーション・ディレクター

メゾンのコミュニケーションを司るアルノー・カレズ(Arnaud Carrez)「カルティエ」インターナショナル・マーケティング&コミュニケーション・ディレクターは、「『カルティエ』は昔から2面性を持っている。例えば“カルティエ ラブ コレクション”。エターナルな『愛』を象徴するコレクションながら『束縛』というセンセーショナルな言葉を用いたコミュニケーションは、発売当時大きな話題を呼んだ。ジュエリー業界のリーダーとして、限界を突破する。そんな精神に溢れている。『2面性』は、“クラッシュ ドゥ カルティエ”に限った話ではないんだよ」と教えてくれました。なるほどです。

ちなみに今回のプレストリップ、ディナーも2面性に溢れていました。かつては監獄だったこともある会場に総勢350人、うちセレブだけでも100人越えの盛大なディナー。ホタテとトリュフでホワイト&ブラックな前菜。甘いピーチを模しているのに食べたら酸っぱいデザートなどなど。アフターパーティーのパフォーマーは、トランスジェンダーの歌手だったり、オッさんなのにイケイケDJだったり(笑)!いろんな人がいるし、いろんな価値観があっていい。そんなことを改めて思わせてくれたコレクションであり、イベントでした。

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