楽天は、ファッション領域強化のための有識者会を11月1日に設立するとして、説明会を開催した。ファッションアイテムに特化したサイト「Rakuten Fashion」のサイトデザインやユーザーコミュニケーションの強化が目的だ。メンバーは中島敏子「ギンザ(GINZA)」元編集長をエグゼクティブ ファッション クリエイティブディレクターに据え、アドバイザーに田中杏子「ヌメロ トウキョウ(Numero TOKYO)」編集長、スタイリストの熊谷隆志を迎えた。
楽天は10月1日にファッションブランドのアイテムを集積した「楽天ブランドアベニュー」をリニューアルし、「Rakuten Fashion」へ名称変更。サイトデザインやキービジュアルの監修に中島ディレクターらを起用し、サイトのUI/UX(ユーザーインターフェイス/ユーザーエクスペリエンス)を一新した。
三木谷浩史・楽天会長兼社長は「物流や約1億人の会員データとAIによる需要予測、決済など楽天グループが持っている全てのアセットをフル活用し、ECだけでなくリアルでもブランドを支援していく。有識者会を設立したのもブランドの役に立ちたいという思いからだ」と説明する。有識者会に参画することになった中島ディレクターは「サイトと商品へのロイヤリティーを高めることができればと思っている。昔の話をすると、日本では服をスーパーで買うことが当たり前だったが、ユニクロ(UNIQLO)が出てきて以降、ファッションのレベルが一段階上がったと思っている。今後、巨大なプラットフォームと素敵なブランドが数多くある楽天でも、同様に日本のファッションのレベルをもう一段階上げることができればと考えている」とコメントした。
これまでの楽天のファッション分野における流通総額は、子供服も含めると8000億円弱だが、「その割にはファッション業界での存在感は弱かった。今後、楽天にはスタイリッシュでかっこいい場ができる。モノを売り買いするだけでなく、コミュニケーションも重要だ。楽天ペイや楽天ポイントなどのマーケティングツールを駆使したリアル店舗への送客も大きなポイントだ」と三木谷会長兼社長。
また、説明会には「Rakuten Fashion」出店テナントの代表としてマッシュホールディングスの近藤広幸社長とジュンの佐々木進社長が登場した。両社とデイトナインターナショナルが11月7日に立ち上げ予定のECストア「スタイル ヴォイス ドットコム」と楽天との関係性は否定しつつも「有識会の布陣やサイトのリニューアル、ファッションウィークへの出資など、楽天からは本気度を感じる。ブランドやファンを守るECというのはなかなか無い。東コレの冠スポンサーとなっている楽天は、ブランド、並びに、ファンを想うECとなれるのではないか。われわれも協力し、ファッション業界一丸となって、何かしらパワーを生み出せればと思う」とマッシュHDの近藤社長。佐々木社長も「ファッション分野への本気度はもちろんのこと、商売をしっかりと行うという姿勢も感じられる。有識会のクリエイティビティーと楽天の力が組み合わされば、非常にすごいECサイトになると思う。私がここに座っていることにも象徴されるように、楽天はテナントと一緒にファッションを盛り上げていこうと考えている。われわれテナントにとっても大きな成長の機会だし、何よりもお客さまにとって安心感のある買い物ができるようになる。われわれも協力したいし、期待もしている」とエールを送った。
同社が冠スポンサーとなって初開催中の「楽天 ファッション ウィーク 東京(RFWT)」に関しては「『ブランドアベニュー』をスタートさせてから、ファッション分野は倍々で成長しているが、単にブランドに出店してください、というわけではなく、われわれもさまざまな面で応援することが必要だ。今回のRFWTにも1000万フォロワーを抱える海外の有力インフルエンサーらを招致しており、海外展開に対しても支援できるはず」と自信を見せた。